和文英訳の例1

2005.9.5

『5000ドル未満の注文に対しては、10%の割り増し料を請求せざるを得ません。』

下記にこの英訳のステップを示します。説明最後の①、II、Cなどは、『和文英訳のこつ』の和文英訳のコツ、辞典、辞典の使い方に対応しています。 勉強すべきは、辞書に載っていない部分、つまり下記の青字部分だけです。あとは、辞書の使い方さえ知っていれば書けるのです。

1. まず、主文は『割り増し料を請求せざるを得ません。』ですから、これを訳します。

  a. 『割り増し料』は、英和辞典(「和英辞」以外でもOK)からan extra chargeまたはan extraなどが見つかります。ただし、extra chargeはマイナスの響きを持つので、service chargeという言葉を知っているとさらによくなります。(A, II)
  b. chargeもextra可算名詞なので、冠詞が必要です。ここでは特定していませんので不定冠詞になります。(①)
  c. 『せざるを得ません』は、一般和英辞典には載っていません。「和英辞」をひくと、have no other choiceやcannot help doingが見つかります。これでもよいですが、実は、実際の英文では同様の意味をhave toやnecessaryで表現することが多いです。(③, A, II)
  d. この文の主語はitにします。マイナスのイメージを持つ文なのでweを主語にはしません。(③)
  e. 時制は、現在形か現在完了形です。現在形であれば、当初からずっとそうしてきたニュアンスです。現在完了形なら、ある時点で(何らかの理由により)そうしたというニュアンスです。(①)
  f. 『請求する』は、chargeと相性のよい動詞を「新編 英和活用大辞典」で探します。すると、levyが見つかります。(②, III, C)
  g. 以上から、以下の英文ができます。It has been necessary to levy an extra charge.
  h. 『10%の』を付け足してIt has been necessary to levy an 10% extra charge.になります。

2. 次に、『5000ドル未満の注文』を訳します。

  a. 『注文』は英和辞典からorderであることがわかります。(A, II)
  b. orderは可算名詞で特定できないので、複数形の無冠詞とします。さらに意味を考慮して、all ordersとします。(①)
  c. 『5000ドル未満』は、less than $5,000です。$5,000を含むか含まないかなど、正確な表記を学習しておく必要があります。(③)
  d. 『注文』と『5000ドル未満』を結ぶ前置詞を「新編 英和活用大辞典」で探します。すると、forが見つかります。(②, III, D)
  e. これで『5000ドル未満の注文』を下記のように訳せました。all orders for less than $5,000

3. 最後に『割り増し料を請求せざるを得ません。』と『5000ドル未満の注文』をつなぎます。

  a. chargeとordersを結ぶ前置詞を調べます。「ジーニアス英和辞典」または「新編 英和活用大辞典」で探すとonが見つかります。(②, III, D)
  b. 以上から、下記の英文ができあがります。
It has been necessary to levy a 10% service charge on all orders for less than $5,000.

この英文が、完璧かどうかは問題ではありません。誤解なくコミュニケーションできるレベルであれば実用上何の問題もありません。