辞書の選び方、使い方

2004.5.5

 

 電子辞書環境の具体的な話をする前に、そもそもどんな辞書を選ぶべきか、それをどう使うかについて説明しましょう。なお、ここでは電子版のある辞書だけを推奨しています。よい辞書でも電子版のないものは取り上げていません。  まず、辞書は最新版を使いましょう。最新版の辞書には、新しい単語が掲載されていますし、新しい工夫もされています。英語のプロを目指すなら、大辞典といえども最新版が出るたびに買い換えるべきです。  次に、辞書の種類ごとに用途を意識して選びましょう。特に、英和辞典は、英語を書くための辞典と読むための辞典を使い分けます。なお、ハードウェアによる電子辞書は、辞書を最新版に更新できないことと、辞書が選択できないことから、外出時に使う以外、お勧めできません。


書くための英和辞典
 英文を書くためには、語法が詳しく解説されていて、例文の多い辞書(俗にいう学習辞書)がよいです。よい辞書なら、日本人が間違えやすいポイントなどに注意を喚起してくれます。また、類語とのニュアンスの差なども示してくれます。この種類の辞書としては、ジーニアス英和辞典 第三版(大修館書店)に定評があります。

 

読むための英和辞典
 英文を読むためには、収録語数の多い辞書がほしいです。俗語や新語にも強い辞書がよいでしょう。代表例はリーダーズ英和辞典 第二版(研究社)です。また、辞書のプロではなく、翻訳家が作った辞書の英辞郎(http://homepage3.nifty.com/edp/)も参考になります。英語のプロを目指すなら、リーダーズ・プラス(研究社)やランダムハウス英語辞典 第二版(小学館)も必要です。

 

和英辞典
 和英辞典は、類語や言い回しが多く掲載されているものをお勧めします。たとえば、「電池」で調べたとき、単四から単一、ボタン電池まで掲載されているような辞書です。残念ながら定評のある和英辞書で、電子版がリリースされているものはありません。ジーニアス英和辞典の電子版には和英辞典もいっしょなので、ジーニアス和英辞典でしのいでもよいでしょう。  ただし、和英辞典はあくまで補助的な辞書です。和英辞典で調べた単語は、必ず英和辞典または英英辞典で確認しましょう。日本語と英語は必ずしも1対1対応ではありません。和英辞典だけでは、とんでもない誤解、誤用をしかねません。

 

英英辞典
 抽象的な単語の意味を正確に把握するには英英辞典が最適です。日本語と英語が1対1で対応する単語(主に名詞)は英英辞典で調べるより、英和辞典のほうが楽です。しかし、日本語と英語が1対1で対応しない抽象的な単語は、英英辞典で調べなければ正しい意味は分かりません。定評があるのは、Collins Cobuild English Dictionary、Oxford Advanced Learner's Dictionary、Longman Dictionary of Contemporary Englishです。英語のプロを目指す方はもちろん、一般のビジネスパーソンでも持っておきたい辞書です。

 

活用辞典
 活用辞典は、英語を書くにあたり、単語どうしの相性(collocation)を調べたり、例文を参照したりするときに使います。この種の辞書としては、新編英和活用大辞典(研究社)やビジネス/技術実用英語大辞典 第三版(日外アソシエーツ)に定評があります。英語のプロを目指す方にお勧めです。


 ここまで読んで辞書を買い足そう、買い換えようと思ったあなた!ちょっと待ってください。まだ買ってはいけません。電子版にはいろいろな規格があって、間違って買うと、せっかくの電子版のよさを堪能できません。

 

* 辞書にはそれぞれ特徴があるので、その良し悪しは、使う人の専門やこだわりにも左右されます。上記で推奨した辞書は、「定評がある」ということでご理解ください