辞書の規格と検索ソフトウェア

2004.5.5

 

  前回は、どんな辞書を選ぶべきか、それをどう使うかについて説明しました。今回は、市販されているCD-ROM版電子辞書の規格と辞書検索用のソフトウェアについて説明します。同じタイトルの電子辞書でも、複数の会社から異なる規格で出版されていることがあります。規格を選ばずに買ってしまうと、辞書ごとに異なるソフトウェアで検索することになりかねません。

 

  市販されているCD-ROM版電子辞書には、主に以下の4種類の規格があります。

 

EPWING

電子出版のもっと一般的な標準規格です。EPEINGコンソーシアムがJIS X4081として規格化しています。

 

電子ブック(EB)

8cm CD-ROMを媒体とした標準規格です。EPWINGにかなり近い規格なので、EPEINGが検索できるソフトウェアなら、EB規格にも対応している場合が多いようです。

 

システムソフト

システムソフト社の独自規格です。使用できる検索ソフトウェアに制限があります。

 

HD辞典

電子辞典社の独自規格です。専用の検索ソフトウェアが必要です。

 

  CD-ROM版電子辞書を買うときには、この規格に気をつけなければなりません。検索ソフトウェアによっては対応していない規格があるからです。特に、電子辞書付属の検索ソフトウェアは、その辞書の規格にしか対応していないことが多いです。そのため、異なる規格の辞書は、そのソフトウェアでは検索できません。

 

  もっとも安全な規格は標準化されているEPWINGとEBです。システムソフトとHD辞典は、出版社独自規格なので、ソフトウェアによっては検索できません。CD-ROM版電子辞書を買うときには、EPWINGかEB規格のものをお勧めします。

 

  この4種の規格以外にも、多くの独自規格があります。たとえば、前回ご紹介した英辞郎や、英英辞典付属のCD-ROMです。英英辞典は海外で開発されるため、日本の規格とは完全に異なる規格で作られています。

 

  これらの独自規格は、変換ソフトウェアを使って、EPWING規格などに変換して使用します。変換しないと、その辞書のために別の検索ソフトウェアが必要になってしまいます。辞書の規格変換については、次回以降に詳細を紹介します。

 

  CD-ROM版電子辞書がそろったら、検索ソフトウェアを用意します。検索ソフトウェアは、電子辞書に付属しているものではなく、汎用性が高く機能が豊富なソフトウェアを用意しましょう。次の2つがお勧めです。

 

Jamming (http://dicwizard.jp/jamming.html)

 シェアウェア(3,675円)。多くの規格に対応し、機能も豊富。上記4規格のうち、HD辞典を除く3規格などに対応。

 

 DDWIN (http://homepage2.nifty.com/ddwin/)

フリーウェア。上記4規格のうち、システムソフトとHD辞典を除く2規格に対応。

 

  このようにして、辞書の規格をそろえ、適切な検索ソフトウェアを使用すれば、多くの辞書をひとつのソフトウェアから検索できます。たとえば、筆者はDDWINを愛用(下図参照)していますが、このソフトウェアから15種類以上辞書を検索できる環境を構築しています。