Corpusで調べてみよう 2004.1.1
作ったオリジナルcorpusを使って、英語の疑問について答えを見つける手順を説明しましょう。
たとえば、”None of the guests ( ) arrived yet.”の英文のカッコの中に入るのは、haveでしょうか?それともhasでしょうか?
和英辞典で調べてみると、次のように両方使われることがあると説明しています。「本来は単数扱いであるが,《略式》では後の複数名詞に引かれて複数扱いされることが多い。」(ジーニアス英和辞典 第3版, 大修館)
こういうが一番やっかいです。自分が書いている英文が、辞書の言う略式なのかがわからないからです。単数扱いが無難ですが、できればまわりと合わせたいところです。
こんなときこそcorpusの出番です。自作のcorpusとconcordancerのTXTANA(http://www.biwa.ne.jp/~aka-san/)を使って、答えを見つけてみましょう。
使用したcorpusは、2000年に雑誌TIMEに掲載された記事から作りました。つまり、TIMEに掲載されるような英文では、上記の問題がどう扱われているかを調べるのです。corpusの総語数は約300万語です。
まず、TXTANAを起動します。初期画面が表示されたら、「NEW」というボタンをクリックしましょう。次のような検索条件入力フォームが表示されます。
「Primary Keyword」に”None of”と入力し、「Case Insensitive」のチェックをはずします。次に「File to Search」の項にターゲットのcorpusのファイル名を入力します。これで検索条件が設定できましたので、フォーム左上の「Go」をクリックします。しばらくすると、以下のような検索結果が表示されます。
自作のcorpusだと、同じ文が重複して登録されていることも多いので、重複文を削除しましょう。検索結果が表示されている画面で右クリックすると、メニューがポップアップしますので、「Delete Duplicate Lines」をクリックします。重複文を削除した結果、検索ヒットしたのは35例でした。
あとは、目視でチェックします。”None of <複数形名詞>“が主語になった場合、対応する動詞に三人称単数の”s”がついているかを、1つ1つチェックします。
今回の35例をチェックした結果、単数扱いは9例、複数扱いは8例(18例は英文だけでは単複不明)でした。この結果から、「TIMEに掲載される記事相当の格式の場合、『None of <複数形名詞>』は、単数扱いでも複数扱いでもよい」ということがわかります。 |