問題: カルト事件はなぜ起こる?

 2000.11.25

 

以下の新聞記事に書かれている意見のほとんどは、ある一つの点について考慮すれば、本質的でないことがわかります。その考慮のポイントは何でしょうか?

 

  一月下旬、宮崎市の宗教活動グループ「加江田塾」の拠点からミイラ化した遺体がみつかった事件は、昨年十一月に発覚した自己啓発セミナー「ライフスペース」関連団体の遺体遺棄事件と類似している。不可解なカルト事件がなぜ、後を絶たないのか。外国人に聞いた。

 

  「日本人が、先頭の一頭に群れて歩く羊のように見えることがある」と話すのは、都内で貿易会社を経営するインド人、SJB・シング・サンダールさん(36)。「しっかりとした自分が持てないから、他人の言うがままに非常識な行動をとるのだ」と酷評する。

 

  また「日本人は宗教を持っていても困った時にしか神仏に祈らない。こうしたあいまいな信仰心につけ入られた」とも。

 

  メキシコで日系商社に勤務するファン・カルロスさん(37)は、「日本では、ストレスのはけ口を宗教に求める傾向があるようだ」と分析。「仕事第一から家族第一へと、ライフスタイルを変えれば、ストレスも軽減でき、カルトに走る人も減るはずだ」とアドバイスする。

 

  川崎市のカトリック教会神父でフランス人のエドワード・ブジョーストフスキさん(68)は「日本人の多忙な生活」が「生命の尊さを教える暇も学ぶ暇もない」状況を生んでいると指摘。そのため、「非常識な論理をも許す心の空白ができる」と語る。

 

  一方、中国紙・中国青年報東京支局長の孫文清さん(34)は、「日本政府は“邪教”に甘すぎる」と見ている。中国では気功集団「法輪功」を「邪教」と断定して取り締まりに躍起になっている最中だからか、「日本が自由な社会であることと、“邪教”を放置しておくこととは別問題」と断言。「反社会的動きを野放しにすれば、せっかくの平和で豊かな社会がむしばまれていく」と忠告する。

 

  都内在住のネパール人通訳、サキィヤ・プルナ・ラタナさん(39)は、「カルト増殖は、物質的繁栄を達成した日本人が、今度は精神的な満足を求め始めた現れ」と解釈。「明日の衣食に困る我が国では考えられないことだが、カルト事件は今後も頻発することになるだろう」と予測している。

 (読売新聞より)

 

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