解答:思ったほど不景気ではない?

 2000.11.24

 

 ここで問題なのは、アンケートの回収率です。リストラという悪い情報を尋ねているため、アンケートを提出しなかった企業の中には、雇用を増やす企業よりも、リストラしている企業の方がかなり多いと考えられます。このような偏りが生じる可能性のあるデータでは、正しい判断はできません。

 

 また、リストラという悪い情報を聞いているため、企業が正直に答えているとは考えにくいです。とくに、雇用を増やすの基準が不明確なのが、正直に答えない傾向を強めてしまいます。たとえば、従来、100人採用していた企業が、不景気のため昨年は採用0としていたが、今年は縁故のために1人採用したような場合でも、雇用を増やした答えるかもしれません。

 

 さらに、雇用という観点で考えた場合、会社の総数より雇用総数の方が正確です。雇用を増やすというのが中小企業ばかりで、リストラを進めるというのが大企業ばかりなら、全体として雇用は減るはずです。