ライティングの重要性

2016.1.11

自己の仕事や自社の製品、サービスを正しく評価してもらうには、伝達効率を高めなければなりません。伝達効率とは、発信者側が発信した内容と、受信者側が理解した内容の比率です。評価は、この伝達効率と内容のよさのかけ算によって決まるのです。正しく評価してもらうには、この伝達効率いかに高めるかが重要になります。

伝達効率の低い文章では、正しく評価してもらえません。せっかく良い仕事をしても、その良さを上司に伝達できなければ評価してもらえないのです。また、商品やサービスの質で勝っていても、それを顧客に正しく伝えられなければ、競争には勝てません。つまり、効果的な情報伝達ができないと、困るのは書き手側です。

正しく伝達できなかったために大きな問題になった事例として、スペースシャトル・チャレンジャーの爆発事故があります。チャレンジャーが爆発事故(1986年)を起こす前に、NASAでは、技術上の欠陥を指摘したレポートがエンジニアから提出されていました。しかし、そのエンジニアの上司が、レポートを無視したので、事故が起きたのです。事故後、その上司は裁判で訴えられましたが、「レポートの書き方が悪かったので、事態の深刻さが把握できなかった」という主張が認められて、無罪になりました。レポートが正しく書けていれば、チャレンジャーの爆発は防げたかもしれません。

伝達効率の高い文章を書けば、以下のような効果的な情報伝達ができます。

読み手のメリット

必要な情報だけを読める

    効果的に書かれたビジネス文章なら、必要な情報だけを読めます。なぜなら、どこに必要な情報があるか、一目でわかるからです。不必要な情報を読まずに済みます。無駄な情報を読まずに済みますので、それだけ読み手の生産性が上がります。全部を読んで必要な情報を見つけ出していたのでは、ビジネスの生産性が下がって仕方ありません。

内容が一読で理解できる

    効果的に書かれたビジネス文章なら、一度読んだだけで理解できます。なぜなら、読み手の認知心理に合致するように書かれているからです。読み返す必要もなければ、書き手に不明点を問い合わせる必要もありません。情報入手に無駄な時間を割かずに済むので、それだけ読み手の生産性が上がります。何度も読み返しているようでは、ビジネスの生産性が下がって仕方ありません。

重要な情報が記憶に残る

    効果的に書かれたビジネス文章なら、重要な情報をしっかり記憶できます。なぜなら、重要な情報が目立つところに、簡潔に書かれているからです。重要な情報を探す必要もなければ、重要性の低い情報で重要な情報が埋もれてしまうこともありません。重要な情報が記憶に残れば、それだけ読み手の生産性が上がります。時間を掛けて読んだのに、大事なことを思い出さないなら、ビジネスの生産性が下がって仕方ありません。

書き手のメリット

誤解なく正しく伝えられる

    ビジネス文章を効果的に書けば、自分の考えをほぼ正確に読み手に伝えられます。伝達すべき情報が確実に伝わり、読み手が期待したアクションを起こしてくれるのですから、書き手の生産性が上がります。

重要な情報を読み手の記憶に残せる

    ビジネス文章を効果的に書けば、その内容を読み手に強く印象付けられます。つまり、内容が読み手の記憶に長くとどまります。読み手が伝達内容を覚えていてくれるのですから、ビジネスがスムーズに進み、それだけ書き手の生産性が上がります。

論理的に構成しやすくなる

    ビジネス文章を効果的に書けば、物事をより論理的に考えられるようになります。なぜなら、非論理的な考えを、効果的な文章の形に書こうとすると、今まで見えなかった非論理性が見えるようになるからです。物事を論理的に考えられれば、それだけ書き手の生産性が上がります。

文章を速く書ける

    ビジネス文章を効果的に書けば、短時間で文章を作成できます。なぜなら、どういう手順で何をどう書けばよいかがすぐにわかるからです。無駄な試行錯誤を省ける分だけ、文章を速く書けるのです。文章を書くのに時間を取られなければ、それだけ書き手の生産性が上がります。