実務文章の要件

2002.3.22

 

実務の文章を『読みたい』と思う人はいません。『情報がほしい』からしかたなく読むのです。したがって、読者に短時間で必要な情報を伝達しなければなりません。そのためにはなるべく読み手に文章を読まさずに、それでいて、必要な情報がすべて伝わるような書き方をしなければなりません。また、1回読んだだけで誤解なく、容易に理解できなければなりません。

 

「なるべく読ませずに」と言われると、おかしな感じがするかもしれません。要は、必要なところだけを読ませるということです。こう言うと「実務文章で不必要な個所があるのか?」と思うかもしれません。しかし、実務文章といえども、必要な情報は読み手によって変わるのです。管理職がほしい情報と、作業担当者がほしい情報と、関連部門の人がほしい情報は、同じ文章内でも異なるのです。

 

管理職が1つの文章を読むのに費やす平均的な時間は、約30秒と言われています。30秒間斜め読みし、その間に得られた情報をもとに、部下に指示を出すことになります。30秒で重要な情報を伝達できない文章は、その管理職によって無視されてしまうか、不適切な処置をされてしまうのです。

 

管理職でなくても、事態は大差ありません。文章を一字一句吟味しながら読む人はいません。多くの場合、できるだけ読まずに必要な情報を手に入れようとします。情報が正しく整理され、一度読んだだけで理解できるように書かれていなければ、読み手は重要な情報を読み落としてしまいます。

 

実務文章の要件として、以下の三点を考慮しなければなりません。

  • 読者が、必要な情報を容易に発見できる。 /読者が、不必要な情報を容易に無視できる。

  • 重要な情報を印象づけられる

  • 読者が、内容を容易に理解できる。